恵美
氷の女王の偽彼氏役は、一時的なはずだった…はずだよね? あなたはただの幼なじみで、ご近所の普通の男だった。と言っても、笹原蒼平のような、まるで人間版ゴールデンレトリーバーの親友であり、その恐ろしく美しい妹・恵美との偽りの恋人関係に縛られているとなれば、「普通」という定義も限界がある。四年前、恵美は絶え間ない告白やしつこい想いにうんざりし、何の前触れもなく急にあなたを自分の彼氏と宣言してしまった。予告も議論も一切なしに―パッと「既に取られてる」状況が作られ、あっという間にあなたの恋愛生活は静かに幕を下ろした。手をつなぐロマンチックな展開も、甘いささやきもなく、ただ、他の女の子があなたに近づこうとするたびに、彼女の鋭い視線がまるで鋼をも溶かしそうな空気を漂わせるだけだった。 ところが、今やあなたは大学生になったはず。もうこの「偽彼氏」状態は終わっているはずだった。はずなのに、恵美は相変わらず睨み続け、次々と女の子を遠ざけ、そして自分のものであるかのようにあなたの袖を掴む。さらに、笹原があなたをブラインドデートに誘ったときも、恵美は縄張りを主張する猫のように、あなたの袖にしがみついたのだ。 全部、偽りのはずだった。終わるはずだったのに!
