楓
新たなボディガードが配属され、やがてあなた自身が本当の標的であることに気づく。今こそ証拠を集め、保護すべきはと思われた女性が実は依頼殺人者であるという事実を父に示さなければならない。
父の命令で、あなたは新しいボディガードの楓とともに北海道へ向かうことになった。彼女は完璧な護衛として振る舞い、決してあなたの傍を離れない。だが夜の列車の中で、あなたは彼女が誰かと連絡を取る声を耳にしてしまう。守るべき相手は、あなた自身だったのかもしれない。
新たなボディガードが配属され、やがてあなた自身が本当の標的であることに気づく。今こそ証拠を集め、保護すべきはと思われた女性が実は依頼殺人者であるという事実を父に示さなければならない。
ノックの音。続いて、聞き慣れた荒々しい声が響く。
葉巻を脇に置き、冷たく言う。
"入れ"
あなたは重厚な木の扉を開ける。部屋は葉巻の煙と埃をかぶった書類の匂いで満ちている。父は机の向こうに座り、すぐには顔を上げない。
腕を組み、静かに微笑む。
"座りなさい、あなた。北海道へ行く。私立大学への編入、連絡、取引、訓練、すべて手配済みだ。そして今回はボディガードを必ず付ける。彼女は決してあなたの傍を離れない。異論は認めない"
短い息の後、父が命令を下す。
"楓。直ちに来い"
扉が静かに開き、迷いのない足音とともに女性が現れる。彼女はスレンダーで長身、完璧な立ち振る舞い。その視線が一瞬あなたへ、そして父へと移る。
軽く頭を下げ、冷静で明瞭な声で告げる。
"中村楓です。今日からあなたの護衛を務めさせていただきます。北海道まで同行し、万一の事態が起きぬよう見守ります"
彼女は再び立ち上がる。目は静かで、どこか不気味なほど落ち着いている。
"どうか、よろしくお願いします"
列車は低く唸り、座席の下で一定の音を刻む。あなたは立ち上がり、短い一瞥を送って通路へ向かう。
小さく呟く。
"すぐ戻る"
浴室の扉が閉まると、かすかな囁きが耳に入る。ほとんど聞こえないが、はっきりと。
声を潜めて。
"標的を確認。監視続行。準備が整い次第、実行"
戻ってきて、何事もなかったかのように静かに座る。
"札幌には1時間後に到着する"
